【映画レビュー】スリービルボード “Three Billboards Outside Ebbing, Missouri”

(※一部ネタバレあり)
=== 映画.comより抜粋 (ここから)===
[作品データ]
製作年  2017
製作国  イギリス
配給   20世紀フォックス
上映時間 116分
[スタッフ]
監督 マーティン・マクドナー
製作 グレアム・ブロードベント
ピーター・チャーニン
マーティン・マクドナー
[キャスト]
フランシス・マクドーマンド
ウッディ・ハレルソン
サム・ロックウェル
アビー・コーニッシュ
ジョン・ホークス
[解説]
2017年・第74回ベネチア国際映画祭で脚本賞、
同年のトロント国際映画祭でも最高賞にあたる観客賞を受賞するなど
各国で高い評価を獲得したドラマ。
米ミズーリ州の片田舎の町で、何者かに娘を殺された主婦のミルドレッドが、
犯人を逮捕できない警察に業を煮やし、解決しない事件への抗議のために
町はずれに巨大な広告看板を設置する。
それを快く思わない警察や住民とミルドレッドの間には埋まらない溝が生まれ、
いさかいが絶えなくなる。
そして事態は思わぬ報告へと転がっていく。
娘のために孤独に奮闘する母親ミルドレッドをフランシス・マクドーマンドが熱演し、
ウッディ・ハレルソン、サム・ロックウェルら演技派が共演。
「セブン・サイコパス」「ヒットマンズ・レクイエム」の
マーティン・マクドナー監督がメガホンをとった。
=== 映画.comより抜粋 (ここまで)===

[感想]
このように強い感情と感情がぶつかり合う作品は苦手であるため、
自分から観に行くことはあまりないのですすが、
今回は幸運にも試写会を当てることができ、鑑賞してきました。
娘をレイプされ殺害された母親ミルドレッドが、
なけなしのお金をはたいて、地元に3枚の広告看板を出します。
広告看板といっても、日本でも田んぼの中に立っているような大きなやつです。
タイトルにもなっているように、このような広告看板をアメリカでは「ビルボード」と呼ぶそうです。
赤い背景に黒字の簡潔な文章が書かれた巨大な広告が、道沿いにめちゃ目立ちます。
1枚目;RAPED WHILE DYING
2枚目;AND STILL NO ARRESTS?
3枚目;HOW COME, CHIEF WILLOUGHBY?
最近学びましたが、「How come?」とはイコール「Why?」で「何故?」という意味であるそうです。
レイプされた上に殺害されたのに、
犯人が未だに逮捕されていないとはどういうことですか、ウィロビー署長?
という、警察、しかも当地警察署の署長さんを名指しにした痛烈な批判です。
ミルドレッドは怒っています。
やり場のない怒りをどこかにぶつけたい。でも犯人は捕まらない。
それならば、犯人を捕まえることのできない警察に、署長さんに、その罪を明確に認識させたい。
彼女の怒りの裏には、娘と最後に話した時に
乱暴な言葉をぶつけてしまった自分自身への拭いきれない罪悪感もあるということが分かります。
ミルドレッドも、その後ろめたさと正面きって向き合うことが出来ず、
なお一層警察に対する怒りが燃え立ってしまうのでした。
かといって、警察側としても、この事件には全く手がかりがないため、
犯人逮捕は絶望的なのです。
(うっすらと、仕方ないんだ、という雰囲気が漂っています。)
もちろん、娘を殺された当事者であるミルドレッドはそんな説明に納得しません。
一方で、ウィロビー署長も、すい臓がんを告知されており、余命いくばくもない身で、
そのことをミルドレッドに告白しますが、
彼女は既に承知しており、「それが何? 誰だっていつかは死ぬわ」と
あっさりと返します。
そう言われた時の署長の表情が印象的。
つまり、お互いにとって、お互いの不幸(怒り)はやはり他人事でしかないのです。
それは、ミルドレッドの他の人に対する態度からも感じ取ることができます。
彼女も、周りの人を多かれ少なかれ傷つけているのでした。
ここから先はまさかの展開、
ミルドレッドvs.周囲の怒りの応酬が繰り広げられていきますが、
ここまで到達できたら逆にあっぱれと思う一方、やはり哀愁がただよいます。
それは、責められるべきはレイプ殺人犯であることは間違いないのに、
捕まらないばかりに、直接関係のないところで人々が傷つけ合っているからですが、
じゃあどうしたらいいのかは誰にもわからない。
そういうくだりを冷静に、ちょっと現実離れした過激さも伴いながら描いている作品です。
助演で評価を受けているサム・ロックウェル演じるディクソン刑事は
当初は差別発言と行動を繰り返す「そもそも何で警官になれたのか疑問」的な危険人物として描かれていますが、
最終的に、もしかして警察官としていちばん大切な要素をふつうに持っているスゴイ子かも、と思わせる
重要な役割です。
この物語は、どうしようもない、どこにもぶつけることのできない怒りとどのように折り合いをつけていくのか、
について描いています。
答えがあるわけじゃないし、正しい答えはないが、
今の時代には誰もが共感したり考える部分のある作品だと思いました。
フランシス・マクドーマンド、ウッディ・ハレルソン、サム・ロックウェル
特にロックウェルは難しい役だったと思いますが
俳優さんたちもとてもよいです。
もともとマクドーマンドを想定していたミルドレッド役だったそうなのですが
彼女以外は考えられない感じ。
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