【映画レビュー】 シェイプ・オブ・ウォーター “The Shape of Water”

=== 映画.comより抜粋 (ここから)===
[作品データ]
製作年  2017
製作国  アメリカ
配給   20世紀フォックス映画
上映時間 124分
映倫区分 R15+
[スタッフ]
監督/原案/脚本/製作 ギレルモ・デル・トロ
製作 J・マイルズ・デイル
[キャスト]
サリー・ホーキンス
マイケル・シャノン
リチャード・ジェンキンス
ダグ・ジョーンズ
マイケル・スタールバーグ
オクタヴィア・スペンサー
[解説]
「パンズ・ラビリンス」のギレルモ・デル・トロが監督・脚本・製作を手がけ、2017年・第74回ベネチア国際映画祭の金獅子賞、第90回アカデミー賞の作品賞ほか4部門を受賞したファンタジー・ラブストーリー。
1962年、冷戦下のアメリカ。
政府の極秘研究所で清掃員として働く女性イライザは、研究所内に密かに運び込まれた不思議な生き物を目撃する。
イライザはアマゾンで神のように崇拝されていたという“彼”にすっかり心を奪われ、こっそり会いに行くように。
幼少期のトラウマで声が出せないイライザだったが、“彼”とのコミュニケーションに言葉は不要で、2人は少しずつ心を通わせていく。
そんな矢先、イライザは“彼”が実験の犠牲になることを知る。
「ブルージャスミン」のサリー・ホーキンスがイライザ役で主演を務め、イライザを支える友人役に「ドリーム」のオクタヴィア・スペンサーと「扉をたたく人」のリチャード・ジェンキンス、イライザと“彼”を追い詰める軍人ストリックランド役に「マン・オブ・スティール」のマイケル・シャノン。
アカデミー賞では同年最多の全13部門にノミネートされ、作品、監督、美術、音楽の4部門を受賞した。
=== 映画.comより抜粋 (ここまで)===

オープニングの、幻想的な水の中が印象的です。
寝椅子に横たわる女性は、まるで眠れる森の美女のようにも見えます。
まるでおとぎ話のように
口がきけない女性と人外の生物とのラブストーリーを描いている本作ですが、ただのロマンチックなお話というだけではなく、支配階層と下層の人たちを対比させて描いているところが、少し違っています。
口のきけないヒロイン・イライザ、
そのお友だちの黒人女性(ニヤリとさせられる毒を含んだおしゃべりとは逆に、友情に厚い得難い人物)や
隣人の年配男性(なかなか仕事をもらえない画家で同性愛者。周りからの理解を得られにくい孤独な境遇ながら、その分もイライザや水生生物のことを理解しようとしてくれる優しい人物)は、
マイノリティであり下層の人間側でありヒロインが恋に落ちる水生生物の警備担当主任は支配階層(白人男性)なのですが、作中では終始一貫して、この警備主任のキャラクターを徹底的に悪として描いています。
最終的にはモンスター化しちゃうくらいの悪です。
この作品にモンスターがいるとしたら、それは水生生物の方ではなく、明らかに人間側です。
とはいえ、彼自身も、ヒエラルキーの梯子を上手に登ろうともがきながらもいまいちうまくいっていない、ある意味このような階層社会の犠牲者と言えなくもないのかも・・。
とにもかくにも、支配層 vs.下層という構図において、下層の人たちが支配層を出し抜いて水生生物を救い出す、という点にも
この作品のメッセージがあることは間違いないと思います。
イライザが恋に落ちる水生生物「彼」の造形が素晴らしいです。
「彼」は、アマゾンで原住民に神と崇められていたのをアメリカ人に捕らえられた、という設定となっております。
特に私が何度も見とれたのは目とえらです。
感情に合わせて波打つようにさらさらと動くえら
宝石みたいな光沢をもってくるくる動く目玉
目の動きは本当に独特で、彼のどことない愛敬にも繋がっています。
(目を担当したのは、今年アカデミー賞を受賞した辻 一弘さんなのだそうです!)
あとは、ぬらぬらしてるのに気色悪くない皮膚もいいです。
感情が高ぶるとチカチカ青く点滅するところは、深海魚みたいできれい。
ヒロインの恋愛相手というかたちでクリーチャーにスポットライトがあたるという点では「美女と野獣」もそうですが、野獣は最終的に王子様に戻るし、そもそも「見た目で人を判断してはいけない」というテーマ上、「野獣は醜い」ということになっています。
一方で、今作の彼は、うつくしい生き物として描かれているし、実際そうなのがこの造形のすごいところで、それはデル・トロ監督の、クリーチャーに対する長年の愛があればこそなのだと思われます。
私がデル・トロ監督の作品で観たことがあるのは「パンズラビリンス」だけかと思っていたら、「ブレイド2」も手がけていたと知ってびっくりしました。
確かに、あの「ブレイド2」のラスボスの気持ち悪い皮膚の具合は「パンズラビリンス」の手のひらに目がついているキャラクターそっくりだし、ロマンチックなラストもデル・トロ監督の趣味だったのかもと思うとなんだかうれしい。
(※「ブレイド2」は(1も)ヴァンパイア映画の中では「アンダーワールド」に並んでおすすめです。)
ロマンチックとクリーチャー系ぐちゃぐちゃ感の融合という点では、デル・トロ監督が第一人者ですね!
B級ぽいテーマでも、語り口の上手さや緊張感を高める演出などきちんと手順を踏んで作られているところに、苦労人的真面目さと経験が感じられるのも好感度が高いです。
自分の好みだけを追い求めているのではなく、観客への気遣いも感じられてバランスがいい作品だと思う。
おとぎ話ラブストーリー的側面については、とにかく、イライザと彼の2人のシーンでは、胸キュンが止まりません。
出会いのゆで卵のシーンから、映画館にぽつんと立っている彼をイライザが見つけて歩み寄るシーン、海へ送り出す前に切なく見つめ合うシーンなどなど。
イライザといる時に彼の出す音が、犬のきゅんきゅん声みたいなところもピュアでかわいらしい。
他にこの作品で独特なところでは、お風呂の部屋(湯舟だけじゃなくてお風呂のある部屋全体)に水を溜めて2人が愛し合うシーンで、びしょ濡れになって抱き合うイライザの表情が女そのもので官能的で、愛されている自信と満足感に満ち溢れていて、とても印象的でした。
うらやましいと思いました。
R指定なりの性描写や暴力描写もあるので、そういうのは絶対苦手!という方は注意が必要ですが、能天気なだけでないおとぎ話を見たい時にはおすすめの作品です。
<おまけ>
ちなみに、ストーリーありきなので、気になる細かい点は意外とたくさんあります。
そもそも何故、水槽の部屋に監視カメラがないのか。
(それを言ったら話が成り立たないけれども)
ヒロインが落としてしまったゆで卵に警備主任のストリックランドが気づくわりに、それがその後効いてこないこととか。
(イライザが犯人だと気付くまでの過程が、ただひたすら人を脅迫して吐かせるだけで、頭悪すぎる。)
あと、彼を救い出す時のタイムリミットは5分だとヒロインは言いますが、何故5分なのかが分かりませんでした。
博士のツールのリミットが5分だったのと一緒なのはただの偶然だったのか・・?
それから、ゆで卵しかあげないので彼が弱ってしまうわけですが、生魚とかをあげればよかったんじゃないのかなあ。
アマゾン出身なんだし。
その頃のアメリカ人はお刺身の存在を知らないので、思いつかなかったということなのでしょうか。
生肉を買うお金もなかったのかもしれない、と今書きながら思ったりしました。
それから、いちばん不思議だったのは、ゼリーやパイの色は緑なのが流行りみたいだったこと。
何か意味があったのでしょうか。
それとも、本当に当時の流行りだったのか、または水の色とかけているのか。
(ストリックランドが買うキャデラックも緑色だったし・・)

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