【「アクロイド殺し」ドラマ化記念】ポアロもの意外な犯人 マイベスト5

おはようございます

来週末に、三谷幸喜氏が脚本を手がけたドラマ「アクロイド殺し」が放送されますね。
「アクロイド殺し」は、その常識破りなトリック(正確にはトリックではないが)に、当時は、フェアかアンフェアかの大論争が巻き起こったそうです。
(私自身はもちろん、フェアだと思っています。)
ドラマ化にちなんで、「アクロイド殺し」のBOOKレビューを書こうかと思ったのですが、下手なことを書いてネタバレしちゃうと困るので、思い悩んだ結果、今日は、ドラマ化記念として、私の考える「クリスティ作品(ポアロものしばり)での意外な犯人」のBEST5を選んでみました。
もし、興味をひかれた作品があれば、ぜひ読んでみてくださいませ!
※あらすじは全て、ハヤカワ・ミステリ文庫の裏表紙から引用させていただきました。
※※有名すぎるので、「オリエント急行の殺人」は最初から除外しています。

5 三幕の殺人
原題  THREE ACT TRAGEDY
発行年 1935年
あらすじ
引退した俳優が自宅で催したパーティで、善良な老牧師がマティーニを口にした途端苦しみだし、死亡した。

数か月後、今度は俳優の友人の医師が、自宅で催したパーティの最中に、ポートワインを飲んで死んだ。

出席者も、死の状況もまったく同じだった。

犯人はいかにして狙った人物に毒入りグラスをとらせたのか?
つの死にはどのような関係が?
この作品は、「第一の殺人の動機は何か」が焦点となっています。
クリスティは、「アクロイド殺し」と同様に、読者の常識を逆手にとることによって、犯人を分かりにくくしています。
その常識とは、「人を殺すからには、必ず、理屈の通った動機があるはず」という先入観です。
犯人にはもちろん、動機があったのですが、それがあまりにも突飛であるため、とうてい思いつきません。
でも、言われてみれば、ああそうか、という感じ。
ちなみに、今作と同じアイデアは、マープルものの短編集「火曜クラブ」の収録作品「バンガロー事件」でも使われています。

4 エッジウェア卿の死
原題  LORD EDGWARE DIES
発行年 1933年
あらすじ
その夜のカーロッタ・アダムズの舞台はすばらしかった。
とくに圧巻だったのは女優ジェーン・ウイルキンスンの物真似で、ポアロはすっかり魅了された。

ジェーン・ウイルキンスン、現エッジウェア男爵夫人。
結婚で舞台生活を閉じながら、ゴシップには事欠かず、舞台に舞い戻った女

奇しくもその彼女がポアロに依頼を持ちこんだ。
離婚したいので男爵を説得してほしいという。

だが数日後、当の男爵は何者かに惨殺された!
殺人犯が、自分が犯人だと周りに疑われないようにする究極の方法は何か?
それは、殺人を犯したことを、自分自身がきれいさっぱり忘れてしまうことです。
「エッジウェア卿の死」の犯人は、巧みにそれをやってのけるため、さすがのポアロも苦戦します。
最後に、ポアロへ宛てた手紙の中で、犯人は、ポアロが犯人特定に手間取ったのは自分の頭脳が優れていたからだ、と書いていますが、私は、そうではなくて、犯人があまりにも自分の犯した殺人に対して無関心だったからではないか、と思っています。

3 ポアロのクリスマス
原題  HERCULE POIROT’S CHRISTMAS
発行年 1938年
あらすじ
クリスマスの雑踏をよそに、出会ったばかりの男女はそれぞれの思惑を内に秘めていた。

男は思う。
計画通りに実行しよう、これだけをめざしてきたのだ。

女が思う。他の事に気をとられてはいけない、念入りに立てた計画だから・・

やがて起こったクリスマスの惨劇!
一族再会した富豪の屋敷で、当の偏屈な富豪が血まみれの死体で発見されたのだ。

休暇も返上して調査を開始したポアロは事件の鍵は被害者の性格にあると推論した!
意外な犯人への驚きと憐みもありながら、一族の人間たちのそれぞれの思惑も興味深い作品です。
被害者は殺されても仕方のないような人間のため、みんながみんな、動機を持っています。
殺したいくらいに憎んでいた人物が実際に殺されてしまったため、彼らはよく分からない罪悪感にとらわれてしまいます。
でも、殺したい気持ちと、実際に殺すかどうかは別物です。
犯人が見つかるまでは疑心暗鬼に苦しんでいたみんなが、疑いからも憎しみからも解放されて次のステップへ進んでいくラストに希望があって、好きな作品です。
私がクリスティを好きなのは、ちょうどいいページボリュームの中に、殺人だけでなく人間観察もきちんと織り込んでくれているところなのですが、この作品は、そんなクリスティらしさを存分に楽しめる良作でもあると思います。
そういう意味もあって、この作品を3位にしてみました。
2 葬儀を終えて
原題  AFTER THE FUNERAL
発行年 1953年
あらすじ
大富豪のアバネシー一家当主リチャードの葬儀を終えて、一族は遺言執行人のエントウィッスル氏から遺産分配方法を聞いていた。

その席上、リチャードの妹コーラが無邪気な顔で口走った。

「あら、彼は殺されたんじゃなかったの?」

翌日、コーラは惨殺死体となって発見された!
容疑は想像人全員におよぶが、弱りきったエントウィッスル氏は、名探偵ポアロに救いを求めた。

一族の心理葛藤の中にポアロが見たものとは何か?
「ポアロのクリスマス」と同じ「一族もの」で、登場人物の性格も似たり寄ったりですが、「葬儀を終えて」の方が、その犯人像によって、より人間性に感じ入る筋立てになっています。
しかも、伏線が上手です。
物語開始早々に犯人の独白が大胆にも挿入されていたことが、再度読み返すと分かります。
また、この作品には、誰からも目を止められない、目立たなくて無害そうな人でも、その人にはその人の強い気持ちがあるのだ、という、社会的弱者に対する一種の擁護的な雰囲気も感じられるところが好きです。
別に、周りの人たちの無関心は意識的なものではないのでしょうが、逆にそのこと自体が残酷に感じられたりすることもありますよね。
一寸の虫にも五分の魂、価値観は人それぞれ、その人がどんなに取るに足らないと思えても、的確に尊重することのできる人間になりたいものです。

1 カーテン -ポアロ最後の事件ー
原題  CURTAIN:Poirot’s Last Case
発行年 1975年
あらすじ
親友ポアロからの手紙でスタイルズ荘へ誘われたヘイスティングズは、驚きべき話をきかされた。

過去に起きたなんら脈絡のない五件の殺人には、共通の真犯人が存在するというのだ。
しかもそのXなる犯人はすでにここで次の獲物を狙っているという。

関節炎に悩まされるポアロに代り、ヘイスティングズは荘の泊り客の調査を頼まれたのだが・・

世にも奇妙な殺人とその華麗な活躍で全世界を沸かせた名探偵の最期を描く問題作!
「カーテン」は、名探偵ポアロの最後の事件というだけでなく、作中で、彼はその一生を閉じます。
この作品が発表されたのは1975年ですが、実際には何年も前に書かれていて、クリスティの死後発表されることになっていた、
というのは有名な話のようです。
つまり、「カーテン」でポアロを「殺した」後も、クリスティはポアロものを書いていた、ということなんですねー
執筆自体は1943年だったそうで、となると32年前!!
作風だって違っちゃうんじゃないかと思うくらい昔ですが、「カーテン」を読んだ時にはその事実を知らなかったこともあって、違和感は全くありませんでした。
でも、もし、1943年じゃなく、彼女自身の晩年にポアロ最終作を書いていたとしたら、どんな作品になっていたのでしょうか。
それはそれで読んでみたかった・・
エラリイ・クイーンの作品に出てくるドルリイ・レーン氏もそうですが、ポアロがだんだん年をとっていくことが、ポアロもののいいところの1つであると思っています。
本当に生きていた人のように感じられるからです。
特に、本作では、死んでいく人だからこその行動をとるポアロに、涙が止まりません。
でも、「カーテン」の最後の犯人こそ、「アクロイド殺し」よりもずっと論争になるべきでは、とも思うのですが・・。

まとめ
ポアロものは全作読みましたが、どれも甲乙つけがたい作品ばかりで、生涯を通じてレベルを落とさずに書き続けたクリスティは、本当に偉大な推理作家だと思います。
今回はテーマを決めてマイベストを5作、選んでみましたが、他の作品たちも、切り口は違えど面白い作品ばかりです。
いつかまた、違うテーマでランキングを作ってみようと思います。
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