【映画レビュー】ジェーン・エア

ジェーン・エア(2011)

“Jane Eyre”

監督;キャリー・ジョージ・フクナガ

出演;ミア・ワシコウスカ、マイケル・ファスベンダー、ジェミー・ベル、サリー・ホーキンス、ジュディ・デンチ

「ジェーン・エア」は、あらすじをなんとなく知っているのみで読んだことはなかったため、この映像化作品を見て、そのロマンス小説ぽさに(いい意味で)驚きました。

ロマンス小説の実写版といえば、J・オースティン原作の「エマ」(1996)や「プライドと偏見」(2005)も好きですが、この「ジェーン・エア」は、それらの作品に比べると、2人の想いが、よりドラマチックに、深く大胆に描かれています。

しかも、ハードな展開なので見ていて辛くなるかと思いきや、意外にも胸キュンなシーンがたくさん。いやーん。なんだかうれしい。

どちらかというとほのぼの系なオースティンと、運命に翻弄される系の「ジェーン・エア」、人によっては好みが分かれるのかもしれませんが、わたしはどちらも好きです。

イメージぴったりのキャスティング

ジェーン・エアを演じているミア・ワシコウスカ、ロチェスター氏のマイケル・ファスベンダーがどちらも好演しています。

「美男美女ではない」という設定のようですが、映画だからもちろんそんなことはなくて、でも2人とも正統派な美形ではないところがリアルっぽくてよい。

ミア・ワシコウスカは、その眼力(下から睨む感じ)と固く結ばれた口もと、本当に妖精みたいな透明感で、ジェーンの頑なまでに清らかなところ、でも頑固で反骨精神にあふれているというキャラクターを体現しています。

常に歯をくいしばって試練に耐えるジェーンがいじらしく、ロチェスター氏から婉曲に告白されているのに気付かないところとか、抱きしめたくなっちゃうくらいかわいい・・。

一方のマイケル・ファスベンダーは、皮肉っぽい嘲笑を漂わせながらのツンデレキャラがさまになっていて、さすがの存在感です。

何かというと詩的で回りくどい口説き文句を繰り出してくるようすとか、普通にただカッコいい人がやったら胡散くさくなりそうなところですが、彼は自然な貫禄でさらっとやれてしまうところが凄い。

ジェーンに求婚する神父さん役のジェイミー・ベル(「リトル・ダンサー」の!大人になったなあ)にはまったく勝ち目がないことが観客にもよく分かるようになっております・・

他にも、意地悪な伯母様役でサリー・ホーキンス(「シェイプ・オブ・ウォーター」の!!)がいたり、悪い人じゃないけど古風な家政婦役のデイム・ジュディ・デンチとか、脇を固める俳優さんたちも素晴らしい方ばかりでした。

意外に多い胸キュンシーンたち

ジェーンとロチェスター氏に立ちはだかるのは究極の試練ともいえる「道徳的問題」であるため、全体的に暗いお話なのかなと思っていたのですが、2人のやり取りには微笑ましいところも多く、「ぽっ」となりながら楽しく見ることができました。

最初の暖炉の前でのやりとりには、ジェーンのかたくなさがかわいくてニヤリとさせられるし、ロチェスター氏の寝室が火事になった時、側にいてほしいという彼に小さく拒絶してしまうところは、ジェーンの怯えた気持ちや翌日ちょっぴり後悔しているところなど、手に取るように伝わってきて切ない・・

真剣に告白してるのに他の女性のことだと勘違いしているジェーンに、ロチェスター氏がいら立ってその誤解を助長させてしまう大人気ないところ(17歳も年上なのに)もいいし、里帰りすることになったジェーンがお給金をもらう時のやりとりなどなど、ジェーンのむっとしたようすが本当にかわいくて、ロチェスター氏が彼女を好きなのが分かる!!というシーンの連続なのです。

後半の展開は少しご都合主義的ですが、世界的名作なのだから、多分問題ないということなのでしょう。

映画を見た後、原作を上巻だけ読んでみたのですが、どういう展開なのかということより、ジェーンが行動を選択するまでの考え方やスタンスが重要視されているということなのだと思いました。

風景や衣装、美術のこと

それから、この作品の第三の主役である風景の「あるがまま」なようすにも、この作品らしさが表れていたように思います。

うつくしい庭園はほとんど出て来なくて、あまり人間の手が入っていない草原とか森の中の景色がメインなのですが、そのままの自然が素朴できれいでした。

また、ジェーンは家庭教師なので、きらびやかな衣装は出てきませんが、シンプルな白レースのブラウスの上に濃い灰色の木綿ドレスを重ねている格好が、ミア・ワシコウスカによく似合っていました。

たくさん下着があって大変そうだけど、あの時代のイギリスの衣装は、上流社会のイブニングドレスとかはもちろん、中流の人たちのものでも、とても上品で憧れます。

それから、フェアファックス夫人とアデルとジェーンが3人でお茶を飲んでいる部屋は、イギリスの田舎のおうちインテリアのお手本のよう。

物語以外にもこのようにたくさんの見どころがあって、2時間はあっという間でした。

文学作品の映像化だからと構えずに、気軽に見ていただきたい作品です。

スポンサーリンク
レクタングル広告(大)
レクタングル広告(大)

フォローする