【映画レビュー】告白小説、その結末

告発小説、その結末

D’après une histoire vraie

監督;ロマン・ポランスキー

出演;エマニュエル・セニエ、エヴァ・グリーン、ヴァンサン・ペレーズ

※原題の仏語”D’après une histoire vraie”は、英語に翻訳すると、”From a true story”になりました。

あらすじ

冒頭、主役である作家は、自作のサイン会をしています。

サインを求めるファンたちは、それぞれ熱烈な言葉を投げかけてきますが、とにかくみんな、顔が近い。それが、サインをしている作家自身の、少し疲弊した精神を表しているように感じられました。

「告発小説、その結末」は、精神病院に入院した(そしてその後、自殺した?)自分の母親を題材した著書がベストセラーになり、少し戸惑っている女性作家・デルフィーヌが主役です。

私的な内容で本が売れたことに対する自己嫌悪と、次作に対する周囲の期待が重すぎて、パソコンを開いても一文字も書けない日々を過ごしています。

そんな時に出会ったのが、エル(彼女)と名乗る女性。

エルは、「あなたの小説は、まるで自分の心の中を読まれているみたいなの」と言い、仲良くなると、だんだんデルフィーヌの執筆内容に口出しするようになります・・。

もしかしてトンデモ映画?

たいていの人は、「こういう話、どこかで聞いたことがあるぞ」と感じるはず。

わたしも、公式HPであらすじを読んだ時点で、「ミザリー」とか「ルームメイト」に似ているなーと思いました。

エルがデルフィーヌと同じブーツを履いていたり、デルフィーヌのふりをして代りに講演会に出る(!)と言って同じ髪型・髪色にしたり、というくだりは「ルームメイト」ぽいし、デルフィーヌが足を骨折するところからの展開は、「ミザリー」ちっくです。
(でも、「ミザリー」とは違って、デルフィーヌは自分の過失で骨折するのですが・・)

このように、類話が巷にあふれている場合、重要なのは「オチ」と言えるでしょう。

しかーし!そこは、さすがロマン・ポランスキー監督。そんな、観客の反応を気にしたびくびく演出はしないのです。

撮りたいように撮ってやったぜ!という高笑いが聞こえてくるような気がするくらい、「は?」という幕切れになっております。

もしかして、作中には伏線があったのかもしれません。でも、脱力感が凄くて振り返る気にもなれない。

これが俗に言う「トンデモ映画」なのかしら・・。わたし、選択ミスやっちゃったのかしら・・という懸念が、正直、頭をよぎりました。

もう少し考えてみた。

観た直後は、上記のように感じて少し怒れていたのですが、今、書きながらよくよく考えてみると、「トンデモ映画」というよりは、「観客に必要以上に親切にしない映画」なのかもしれません。

わたしはいつもハリウッド系映画が中心で、ヨーロッパ映画や邦画さえもあまり観ないため、「分かりやすい展開や伏線」に慣れてしまい、それを当たり前に思ってしまっているのかも?と、少し反省しました。

でもなー、それにしても、やっぱりちょっと違和感があるんですよねー。

デルフィーヌは精神の均衡を崩していくのですが、母親のことを本に書いた罪悪感が原因というわりには、母親の話がほとんど出て来ない。というか、デルフィーヌは自分のことを全く(夫にさえも)語りません。

今度はフィクションを書くってさんざん頑張っていたのに、エルのことを書こう、彼女と出会ったのは運命だわ、と決めるのも唐突だし。自分のことを書いた結果後悔しているのに、他人のことは書けるなんて、それまで脅迫レターにさんざん胸を痛めていた繊細さんにしては、ずいぶん無神経ではないですか?

演出的計算で伏線を目立たなくしているとしたら、そのような精神的要素に関する取り扱い方の雑さ加減に違和感がありました。

いろんな意見を聞きたいところであります。

さて、ところで、いったいどんなオチだったのか??

気になる方は、ぜひご覧になってみてください。

エヴァ・グリーンの妖気について

「ドリーマーズ」(2003)の時から気になっていながら、エヴァ・グリーンの出演作を観たのは今作が初めてでした。

女性の色気や妖気においてはとにかくフランス人女優が群を抜いていらっしゃいますが、その中でもエマニュエル・ベアールとエヴァ・グリーンは断トツです(わたし主観)。

とか言いながら、出演作を観たのは初めてだったので、感じたことを書き留めておきたいと思います。

  • とにかく妖気がある。人間じゃないと言われても納得してしまいそう
  • でも笑顔がかわいい
  • お化粧をしていてもしていなくても、あまり変わらずにきれい

びっくりしたのは、ばっちりメイクをしていても、していなくても、同じくらいきれいなところです。

メイクがなくてもパーツの輪郭が全然ぼやけないし、オーラも消えないのが凄い。

これから年齢を重ねていっても、エヴァ・グリーンのあの妖気は、衰えないどころか増幅していくこと間違いなしです。

本作の内容にいろいろ思うところはありましたが、エヴァ・グリーンを堪能できたのでヨシとしよう。

欲を言えば、後半で狂気にはしるのは展開上仕方ないとしても、前半にもう少し妖気を発揮する場面があるとよかったかなあ。お誕生日会で顔が近づいたシーンくらいでしょうか。そこらへんはヘンにハリウッド風で、ライトな感じになっていて残念でした。

対するエマニュエル・セニエですが、ほぼノーメイクでギプス姿という体当たり過ぎる演技でも、やっぱりうつくしい。さすがです。

大好きな作品のひとつである「恍惚」(2003)には及ばないが、フランス人女優競演の1作として、一見の価値がある作品かもしれない、と思います。自信を持って言い切れないのが辛いところですが・・。

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