【映画レビュー】ゲティ家の身代金

ゲティ家の身代金
“All the money in the world”

監督:リドリー・スコット

出演:ミシェル・ウィリアムズ、クリストファー・プラマー、マーク・ウォールバーグ
ロマン・デュリス、チャーリー・プラマー、ティモシー・ハットン

公開前の騒動について

野次馬根性で観に行ったというのが正直なところの本作。

一連の騒動を下記にまとめてみました。(参考;Wikipedia映画公式HP

  • 公開約1か月前(2017年10月29日)に、ジャン・ポール・ゲティ役のケヴィン・スペイシーがセクハラ疑惑で訴えられて、公開危機に。
  • リドリー・スコット監督は、スペイシー出演部分の撮り直しを決断。
  • クリストファー・プラマーに代役を依頼し、1週間後には再撮影を開始。
  • その2週間後に映画を完成させる。
  • 2017年12月25日に全米公開
  • 上記再撮影において、ウィリアムズ(1000ドル以下)とウォルバーグ(150万ドル)のギャラに1000倍以上の差があったことが、後になって分かった。
  • 折しも「Time’s up運動」(ハリウッドでの男女格差に対する抗議運動)が盛んで、非難を受けたウォルバーグは、そのギャラ150万ドル全額をTime’s up活動の基金として寄付することを発表した。

・・と、とにかく次から次へと凄かったですねー。報道当時、邦題が決まっておらず、原題の “All the money in the world” をさんざん目にしていたせいで、”ゲティ家の身代金”というタイトルが、まったくもってピンときておりません。

リドリー・スコット監督も、急遽代役となったクリストファー・プラマー氏も80歳を超えているということで、おじいちゃんパワーを感じられる作品にもなったのでした。

感想

映画の編集がどのように行われるか、わたしは全くの素人なのですが、撮り直しということは、どの場面でどのように差し替えるかを完璧に把握していないと出来ないので、最初の撮影より大変だったのではないかと思います(最初の撮影の時、どのようなアングルで、どのようなタイミングでカメラが動いていたか、まで分かっていないといけないのでは?)。

しかも、ジャン・ポール・ゲティ役の出番は、かなりたくさんありました。

それを、迷いなくテキパキと指揮したというスコット監督はさすが、というより他ありません。

また、緊迫感のあるシーンの連続で飽きさせない展開も、エンターテイメント性満点でした。

でも、ところどころ、そのエンターテイメント性にはしり過ぎているのでは、という箇所があったのが残念なところです。

例えば、誘拐犯との交渉役を任されていたマーク・ウォルバーグが、クリストファー・プラマーに、溜まりに溜まった怒りをぶちまける場面。

世界一の大富豪ともあろう者が、部下に罵倒されただけで考えを変えるとは思えません。

映画的には、それはブナンな流れですけれども、ジャン・ポール・ゲティがどのような人物であったのか、本当にただの守銭奴だったのか、それとも・・?という、いちばん観客が興味を持っている点を、描き切れていないように感じました。

クリストファー・プラマーの威厳溢れる佇まいと演技が素晴らしいだけに、なんだかそれで納得しちゃいそうになりますが、本作は、孫の身代金支払いを拒否した、という、ゲティの異常な対応だけによりかかって、では何故そのような判断をしたのか、という点についての解釈をあまり掘り下げていません。

少なくとも、通常の想定内に収めてしまっていると思います。

実話の映画化とはいえ、脚色しているところもあるのだから、ふわっとしたままではない、本作ならではの回答を示してくれていたら、と望むのはわがままでしょうか。

ケヴィン・スペイシーは特殊老けメイクでゲティを演じていたということなので、もし、スペイシーバージョンだったら、逆に、その老けメイク自体がエンターテイメント性を高めることになり、ここまで気にならなかったかもしれません。

クリストファー・プラマーが演じたことによってリアリティが増したことが、諸刃の剣になってしまったような印象も受けました。

びっくりした点

本作は、観ていてびっくりした点(史実らしいです)がいろいろありました。例えば、

1.狂言誘拐を疑って警察が何もしない

誘拐当初、ジョン・ポール・ゲティ三世自身の狂言誘拐であることを疑って、イタリア警察は積極的な捜査をしませんでした。

2.身代金を値切った

ゲティは(実際にはウォルバーグが)、要求された1700万ドルを、300万ドルくらいにまで値切りました。

値下げ幅がすごい。犯人はそれでいいのか、とこっちが心配になったですよ。

3.税金対策レベルまでしか払わなかった

細かいところは理解できていないのですが、ゲティは、身代金を300万ドルくらいまで値切った上に、税金対策として控除できる額・約200万ドルまでの支払いしか容認しなかったそうです。

アメリカでは、当時、身代金の支払いを税金控除に使えたらしいです。今はどうなっているのか分かりませんが、全然役に立たないし役に立てたくない知識でございました。

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